世界の果て [本]
嵌まっております…。
この本の帯には、「世の中に明るく朗らかな小説だけしかなくなったら、それは絶望に似ているのではないかと個人的には思っている。そんな小説は世の中に溢れているから、別に僕が勝つ必要はないのではとも。」と筆者解説の文章が載っていた。
中村 文則氏の小説は、闇、家族、凄惨、澱のようなものが沈殿している。
本来、人は闇の中から光を見出すことで生きてゆけるのではないのか…。
小説だけではない。音楽も明るく、リズミカルで、パターン化した前向きと言われる歌詞が渦巻いている。
人は考えるから、悩むから、傷つくから生きて行けると思う。それが命。
世の中、明るく、いつも幸せで朗らかであるわけがない…。恒常的な幸せを求めている今の日本は、とても寂しい。
ものの哀れ、せつなさ、やるせなさ・・・細やかに心情を表わす日本語を創りだした民族だから、もどろうよ…。
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