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世界の果て [本]


世界の果て (文春文庫 な 69-1)

世界の果て (文春文庫 な 69-1)

  • 作者: 中村 文則
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫


 嵌まっております…。
 この本の帯には、「世の中に明るく朗らかな小説だけしかなくなったら、それは絶望に似ているのではないかと個人的には思っている。そんな小説は世の中に溢れているから、別に僕が勝つ必要はないのではとも。」と筆者解説の文章が載っていた。
 中村 文則氏の小説は、闇、家族、凄惨、澱のようなものが沈殿している。
 本来、人は闇の中から光を見出すことで生きてゆけるのではないのか…。
 小説だけではない。音楽も明るく、リズミカルで、パターン化した前向きと言われる歌詞が渦巻いている。
 人は考えるから、悩むから、傷つくから生きて行けると思う。それが命。
 世の中、明るく、いつも幸せで朗らかであるわけがない…。恒常的な幸せを求めている今の日本は、とても寂しい。
 ものの哀れ、せつなさ、やるせなさ・・・細やかに心情を表わす日本語を創りだした民族だから、もどろうよ…。
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